#NMNの散歩道（１８）　

―お祭り―

夕方、空が少しだけ金色に染まり始めたころ、遠くから太鼓の音が聞こえてきた。それは、胸の奥に響くような音で、何か懐かしいものを呼び起こすようだった。

私はNMNをひと粒、口に含んだ。それは、体の中にある小さな灯りをそっとともすような感覚で、人混みの中でも、自分の輪郭を保てるような気がした。

商店街の通りには、提灯が並び、浴衣姿の人たちが、ゆっくりと流れていく。焼きそばの匂い、金魚すくいの水音、かき氷の冷たさを想像するだけで、子どもの頃の夏が、ふっとよみがえった。

お祭りは、にぎやかで、少しせつない。誰かとすれ違って、また誰かと出会って、そのすべてが一瞬のきらめきのようで、でも確かに、心の奥に残っていく。

神社の境内では、盆踊りが始まっていた。輪になって踊る人たちの姿を見ていると、時間がぐるぐると回っているような気がした。過去も未来も、今この瞬間に溶け込んで、ただ「生きている」ということだけが、そこにあった。

NMNが教えてくれるのは、その「今」の尊さ。細胞の奥で静かに働きながら、私たちの体と心を、そっと支えてくれている。

帰り道、風が少しだけ涼しくなっていた。それは、夏の終わりの予感であり、新しい季節の始まりでもあった。

私は、今日のお祭りの音を胸にしまって、静かに歩き出した。それは、にぎやかで、やさしい散歩だった。

明日は、「風のあとに残るもの」

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