#NMNの散歩道（１９）　

―風のあとに残るもの―

風が通り過ぎたあと、世界は少しだけ違って見える。木の葉が揺れて、空気が入れ替わって、何かが終わったようで、何かが始まったようでもある。

私はNMNをひと粒、口に含んだ。それは、体の奥にある静かな場所に、そっと風を通すような感覚だった。その風は、古い記憶の埃を舞い上げて、新しい呼吸を教えてくれる。

公園のベンチに座っていると、さっきまで騒がしかった蝉の声が、急に遠くなった。風が吹いたのだ。それは、誰かがそっと肩に触れたような、やさしくて、でも確かな気配だった。

風のあとには、静けさが残る。その静けさの中には、誰かの笑い声や、言いそびれた言葉や、もう戻らない時間が、そっと沈んでいる。

NMNが教えてくれるのは、その「残るもの」の大切さ。変化の中で、見えなくなってしまいそうなものを、体の奥で、静かに守ってくれる。

帰り道、夕焼けが街を染めていた。風が通り過ぎたあと、空は少しだけ広くなっていて、私はその広さに、少しだけ救われた。

風のあとに残るもの。それは、静けさであり、記憶であり、そして、次に進むための小さな力だった。

明日は、「柳橋」

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