2025/09/11 16:18
#NMNの散歩道(36) ―記憶の庭にて―
母が庭に出るのは、朝の光がまだ柔らかい時間だった。小さな鉢に植えたミントの葉を指先で撫でながら、彼女は何かを思い出そうとしているようだった。でも、その「何か」はいつも、あと少しのところで霧のように消えてしまう。
「この匂い、昔どこかで嗅いだ気がするのよ」そう言って笑う母の目は、子どものように澄んでいた。
私は、彼女の紅茶にそっとNMNの粒を落とした。そして、朝食後にはオロチン酸リチウムの小さなカプセルを手渡す。それは、魔法でも薬でもない。ただ、彼女の記憶の庭に、もう少しだけ光を差し込むための、静かな祈りだった。
ある日、母が突然言った。「あなたが小さい頃、よくこの庭でかくれんぼしたわよね。ミントの陰に隠れてたの、覚えてる?」
私は驚いて、ミントの鉢を見つめた。その記憶は、私の中にも確かにあった。でも、母の口からそれが語られるのは、何年ぶりだっただろう。
NMNは、細胞の奥深くで静かに働いている。オロチン酸リチウムは、脳の迷路にそっと灯りをともす。それらは、母の中に残っていた「私たちの時間」を、少しずつ呼び戻してくれているようだった。
庭のミントが風に揺れる。その音は、記憶のページをめくるように優しかった。
明日は、「切手の中のレーニン」
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